脳波計で観測される脳波の周波数による分類について

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はじめに

計算をするとき、考えごとをするとき、何かを見るとき、何かを聞くとき、何かを嗅ぐとき、何かを味わうとき、何かを感じるとき、あるいは何もしていない(ように見える)ときでも、私たちの頭蓋骨の中にある脳では神経細胞(ニューロン)が活動しています。
このようなニューロンの活動を知るために用いられる検査装置の一つが脳波計です。
この脳波計によって観測される脳波は、その周波数によっていくつかの種類に分類され、ギリシャ文字でそれぞれに名前が付けられています。
これについて、以下で見ていくことにしましょう。

周波数による脳波の分類

脳波計によって観測される脳波は、大脳皮質に存在しているニューロンのうち、錐体細胞と呼ばれるものの電気的活動を反映したものと考えられています。
そして、その脳波は、縦の軸に電位、横の軸に時間をとった脳波計の記録紙上に波形として表されるわけですが、1秒間あたりにその波形が何回繰り返されるかという指標が「周波数」です。

脳波は、この周波数によって以下の4種類に分けられます。

α波(アルファ波)

周波数が8~13Hz(つまり1秒あたりに波形の繰り返される回数が8回以上13回未満)の脳波のことを言います。
眠っていない状態(覚醒)で、安静にし、目を閉じているときに現れる脳波です。
目を開いたり、計算や考えごとなどの精神的な活動を行ったり、不安や緊張を感じたりするとα波は減っていき、やがて消えてしまいます。
健康な大人の場合、頭頂部や後頭部で顕著に観測されます。

β波(ベータ波)

周波数が14Hz以上のもので、α波よりも周波数が早いことから速波とも言われます。
大脳皮質が比較的活動的な状態にあるときに見られる脳波で、健康な大人が起きている状態のときに主として観測されるほか、眠りに入るとき、精神に作用する薬物を摂取したときなどにも見られます。
また、知的障害があるとき、頭に外傷を受けたとき、頭部の手術を受けた後などにも観測されます。

θ波(シータ波)とδ波(デルタ波)

α波よりも周波数が遅いので徐波(「徐」は「ゆっくり」という意味)と呼ばれます。
θ波は周波数が4~7Hzのもので、眠り始めのときや、夢を見ている状態で知られるレム睡眠のような浅い眠りのときに観測されます。
一方、δ波は周波数が4Hz未満のものを言い、ノンレム睡眠のような深い睡眠状態にあるときに観測されます。
両者とも、健康な大人の人が眠っていない状態で安静にして目を閉じたとしても、ほとんど観測されません。
ただし、てんかんや脳血管性の疾患、あるいは脳腫瘍ができている場合や、意識の障害がある場合など病的なケースではθ波やδ波が観測されることがあります。

最後に

以上で見てきたように、脳波は人の意識の状態と密接な関係があり、一般的には活動的であればあるほど周波数の早い脳波が、また活動的でなければないほど周波数の遅い脳波が観測されやすくなる傾向があります。

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