アネロイド式による上腕式血圧計の正しい扱い方

診断用機器

血圧は、心臓から送り出す血液のポンプの事を示しており、健康状態のバロメーターでもあります。血圧計の種類は色々ありますが、アネロイド式によるカフと呼ぶ腕帯を腕の上部に巻き付けるタイプの上腕式血圧計について、正しい使用方法をご紹介しましょう。

血圧計の種類

最近では電子血圧計が一般的に使用されていますが、水銀式やアネロイド式血圧計などの種類があります。他の分け方としては、測定する位置によって「手首式」「上腕式」「アームイン式」などがあります。

水銀式の血圧計は、環境汚染の観点から、2021年から製造中止になっています。電子血圧計は、低血圧の場合や、ショックを受けた状態の場合、聴診法では正確に測定する事が困難となるので、アネロイド式血圧計による「上腕式血圧計」を中心に紹介していきます。

〇アネロイド式血圧計とは
液体を使用しない意味を持つギリシャ語から由来しており、水銀を使わない事で、安全と環境に配慮された血圧計です。

〇マンシェットとは
腕に巻く圧迫布の事です。

〇カフとは
マンシェットの中にある空気を貯める袋の事です。一般的には、腕帯の事を、カフと呼ぶ事もあり、マンシェットと同じように認識されていますが、医療従事者の場合は、区別する言葉として使用しています。

アネロイド式による上腕式血圧計の注意点

アネロイド式で計測すると、ヒトの肘窩から手にかけて配置する橈骨動脈(とうこつどうみゃく)などの触診によって、収縮期血圧を確認する事ができます。血圧測定時には、注意事項を確認しながら実行しましょう。

1.正確に測るには、血圧の変動を避ける為に安静な状態で測定します。普段より血圧が高い場合は、10分ほど横になるなどの対処をし、安静にしてから再計測します。

2.マンシェットは、加圧部分のゴム袋に、上腕動脈がくるように巻き付けます。ゴム袋部分の幅は、成人の場合に12~14cmのものを使用しています。幅が広くなると最高血圧が低めになり、幅が狭いと高めになる傾向があります。

3.マンシェットの下端が肘から2~3cm上に位置するように設定します。マンシェットをきつく締めすぎると、ゴム袋への圧迫が少なくても、血流が止まる事で、計測値が低くなります。上腕動脈に触れて聴診器のチェストピースを、直接肌に触れて軽く圧迫しておきます。

4.膨らんだゴム袋を、送気球のネジを緩める事で、1拍ごとに2mmHgずつ下がるようにしながらコロトコフ音(血流の音)を確認します。音が消えたらネジを緩めてゼロまで下げます。

5.測定時の姿勢
椅子に座った状態で背筋を伸ばして、マンシェットを心臓と同じ高さに位置します。腕に力を入れずに掌は上に開いた状態にします。

患者に対する注意点

患者の状態に注意して正しい計測を行います。

1.脳梗塞などで体にマヒがある場合には、血液の循環が悪くなっている場合があるので、マヒしていない腕で測定をします。

2.特殊な血液回路を外科的に行う「シャント造設」がある患者には、血管を詰まらせる恐れや、感染や出血の可能性があるので、シャント側の腕では計測は不可です。

3.乳がんでリンパ節郭清を受けた患者に対して、計測を行うとリンパ液の流れが悪くなり、上肢のしびれやマヒなどの障害を起こすので注意が必要です。

まとめ

アネロイド式による上腕式血圧計についての知識や、測定する上での正しい扱い方を、紹介しました。計測器はデリケートな機械なので、正しく扱う事が必要です。また、計測する患者の状態を把握していないと、患者の安全を脅かす事にもなるので、確認事項を毎回チェックする事が大事です。

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