感染症を防ぐための血圧計のカフの清掃方法

診断用機器

インフルエンザなどの感染症では、院内感染の対策は非常に重大な問題です。直接患者の皮膚に触れる血圧計は、感染の原因になる可能性があり、常に清潔に保っておく必要があります。今回は、血圧計の正しい清掃・メンテナンスの仕方について解説します。

クリティカル器具・セミクリティカル器具・ノンクリティカル器具

医療用器具の衛生管理は、常に徹底しておかなければいけません。では、様々な器具はどのようにメンテナンスを行うのでしょうか。

◎クリティカル器具:患者の微生物の存在しない無菌組織や、血管に挿入する器具のことであり、手術用器具、尿路カテーテルなどが該当し各患者の使用前に滅菌します。

◎セミクリティカル器具:健常でない肌または粘膜に接触する器具(麻酔器具、体温計、軟性内視鏡、喉頭鏡、気管内挿管チューブなど)のことを指し、グルタラール、フタラール、過酢酸といった高水準消毒を使い消毒します。

◎ノンクリティカル器具:ベッドバン、松葉杖、聴診器といった健常な皮膚(粘膜以外)と接触する器具のことです。目で見て汚れていた場合、及び定期的(患者ごとの使用後か一日もしくは一週間に一回)に消毒します。ウィルスが付着している可能性がある場合には、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールといった中水準消毒液で消毒してください。

血圧計のカフ

カフのメンテナンスを怠ると、黄色ブドウ球菌やB型/C型肝炎ウィルス、HIVといった病原微生物の媒介となり、二次感染のリスクが高まります。定期的な洗浄・清拭を行うことが、微生物が治療者に侵入することを防ぐ重要な処置になります。

血圧計のカフはノンクリティカル器具に分類され、添付文書の安全策と使用法に基づき、EPA認可の低~中水準の消毒液を染み込ませた、柔らかい布で擦りながら消毒するのが一般的で、洗浄と消毒を同時に行う洗浄剤が便利です。

布製のカフは乾くまで時間がかかり、メンテナンスしづらいため、洗浄しやすい素材を選択することをおすすめします。家庭用の血圧計の場合、中性洗剤で清拭するタイプもあるため取扱説明書は必ず確認しておきましょう。

ディスポーザブルカフとリユーザブルカフ

感染対策には、一人の患者に使用するディスポーザブルカフを採用するのが理想ですが、コストパフォーマンスが悪いため病院の規模によっては妥協が必要になります。コスト的に厳しい場合は、感染リスクが高い患者さんや、多剤耐性菌を保菌している患者さんに優先して使用することで、院内感染を防ぐことに繋がります。

リユーザブルカフは洗浄性に優れた素材とワンピース構造でメンテナンス性が良く、患者に使用する前の洗浄の時間を大幅に短縮することができます。

まとめ

感染症を防ぐには入院中の患者に対し、個別に専用化して退院後に洗浄するといった工夫も良い対策になるでしょう。今後の感染症を防ぐためにも、器材の正しいメンテナンス方法も十分に理解しておきましょう。

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