医療の現場で活躍するCT装置と検出器その仕組み

診断用機器

身体の中の様子を診る事の出来る医療機器は幾つかありますが、その中で今、最も活躍している機器はCT(Computed Tomography/コンピューター断層撮影法)ではないでしょうか?
患者さんにとって最小限の負担で多くの情報を得られるCTは、多くの医療機関で採用されています。今回は、そのCT装置の仕組みと検出器の役割についてお伝えします。

CT装置の基本的な仕組み

CT装置は、患者さんが寝台の上に横になった状態で入る大きなドーナツ型の「ガントリ(架台)」、患者さんさんが横になる「クレードル(寝台)」、装置を操作するコンピューターの「コンソール」の3つのコンポーネントにより構成されている医療機器です。

CTは、X線を用いて患者さんの体内の様子を可視化できる装置です。X線を照射する装置を「X線管球」と言い、その重さは700kgもあります。そのX線管球から照射されたX線を受け止める円弧型の装置を、「検出器」と呼びます。検出器はガントリの中を1秒間に、速いものだと3回転以上しています。

マルチスライスCT装置の登場

1990年代頃までは、螺旋スキャン装置と呼ばれる機器が主に医療機関で使われており、一度のX線の照射で1断面の画像しか撮影する事が出来ませんでした。それゆえに、CTでの検査にはかなりの時間を要しました。

従来の螺旋スキャン装置と呼ばれる機器では、検出器はスキャンする方向に対して700~900個、それが身体軸方向に対して1列しか配置されていませんでした。その為、複数のスライドを撮影するには長時間を要し、患者さんの負担にもなっていました。

2000年頃より、マルチスライスというシステムが実用化され、一度のX線の照射で、複数枚の画像を撮る事が出来る様になりました。マルチスライスCT装置では、同じく700~900個の検出器が使われていますが、身体軸方向に対して2から64列に並んでいる為、一度に2~64のスライドを撮影する事が出来ます。これにより検査に掛かる時間は短縮され、患者さんの負担も減りました。

また、マルチスライスシステムでは、大重量・高速回転化した為、ガントリに掛かるGは遠心力の為に50G近くにもなります。遊園地のジェットコースターで掛かるGが4~5Gと言われていますので、いかに大きな力が加わっているかがわかるでしょう。

検出器の構造

CT装置の検出器の素材はセラミック(金属ではない)で出来ており、形状はメーカー毎に異なっています。シンチレーション用のフォトダイオードと組み合わせて使用されます。

まとめ

今回はCT装置を構成するコンポーネントの一つである、検出器に焦点を当ててお伝えしました。あらゆる身体の部位を輪切りの画像として作り出すことができるCT装置は、現代の医療に欠かす事の出来ない重要な検査であり機器といえるでしょう。

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