どうして体内の様子が見えるのか? ~ファイバースコープの基本的原理~

診断用機器

先端部を人体に挿入することによって、臓器やその他体内器官の状態に関する目視検査を可能としている医療用ファイバースコープ。その機能には一体どのような原理が応用されているのでしょうか。機器的な特徴や構造など、基本的なポイントを踏まえながら見ていきましょう。

ファイバースコープとは

直径数mm程度の細い先端を物体の開口部から挿入し、物体内部の光景を視覚的に確認することを可能とする機器・ファイバースコープ。工業分野で様々な用途に利用される一方、医療分野においても患者さんの体内を目視検査する際に活躍します。

その大まかな仕組みは、ケーブルの両先端にレンズ類あるいはカメラ類といった画像映写および表示用の部品が取り付けられている外観を呈しています。

ケーブル部は光ケーブルに相当し、数千ないし数万本単位のグラスファイバーが束状となっている構成となっています。グラスファイバーとは、ガラス類あるいはプラスチック類を原料とする繊維状の物体であり、その直径はおよそ125μm前後です。片側の先端から入り込んだ光をそのままもう片方の先端に通す性質を有します。

その光ケーブルについて、人体内部に挿入する側の先端には対物レンズあるいはCCDカメラなどのような、いわゆる画像を写し取る部品が配置されています。そしてもう一端には接眼レンズあるいは画像表示用のモニター類が接続されています。

これによって、対物側で捉えた光景を接眼側で見ることができるわけです。

対物側をCCDカメラ・接眼側をモニター類としてタイプに関してはビデオスコープという呼称が用いられ、レンズタイプと区別される場合もあります。

光ケーブルには、途中いくら折れ曲がっても映像を伝達できるという特徴があり、これによって複雑に屈折する体内経路を自在に目視観測することが可能となるわけです。

グラスファイバーの仕組み

途中でケーブルが曲折しようとも、対物側で捉えた光景が接眼側で可視化されるという特性。それがあるからこそ、ファイバースコープが医療においても有効かつ安全に使用できると言えます。そして、その機能を実現させているのが、光ケーブルに内蔵されている数千から数万本にもおよぶグラスファイバーの働きです。

グラスファイバーは、中央の芯に当たるコアを覆うようにしてクラッドが取り囲み、その外周を被覆するという3層構造となっています。コアとクラッドはともに同質のガラスもしくはプラスチックを原料としていますが、その屈折率が異なり、コアの方を高くして作られています。
これによって、光が先端に入射した際、グラスファイバー内で全反射や屈折が行われ、光がコア部分に限定して他先端に伝播される仕組みとなっているわけです。

見える仕組みについて

「物が見える」という現象は、物体に当てられた光が目に入り込むことを意味しています。ファイバースコープでは、グラスファイバーの機能によって、対物側で捉えた光景すなわち物体からの光の反射が、そのまま接眼側に伝達されることとなります。

その接眼側に届いた光を視覚によって捕捉すれば、対物側に写った光景が見えるというわけです。

まとめ

以上のように、光ケーブルおよびその構成物であるグラスファイバーの性質を基に、ファイバースコープによって人体内部の光景が目視可能となる仕組みについて確認してまいりました。

医療機器の特徴に知悉することで、更なる医療スキルの向上にも結び付けられるものと思われます。

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