冠動脈ステントの留置方法とは?ステントの役割などについてわかりやすく解説

治療用機器

冠動脈ステントを留置する際には、足または腕の動脈からカテーテルを挿入して大動脈を通過させ、冠動脈まで狭窄部を治療します。

大きく胸を切り開いた手術を必要とせず、数ミリ程度の穴で治療できることがメリットですが、すべての虚血性心疾患に対応できるわけではありません。

そこで、冠動脈ステントの留置方法や、そもそもステントとは何なのか、役割について解説していきます。

 

冠動脈ステントを留置する方法

狭心症と心筋梗塞は心臓の筋肉を養う冠動脈の狭窄または閉塞による起きる疾患は、冠動脈の動脈硬化が原因であることがほとんどです。

胸の痛みや締め付けられるような感覚が症状として見られますが、冠動脈に狭窄が見られたときには、経皮的冠動脈形成術や冠動脈ステント留置術の適応対象です。

局所麻酔でカテーテルを使用して行いますが、次の2つの方法があります。

・風船で冠動脈を拡げる冠動脈形成術

・冠動脈ステントを冠動脈内に置く冠動脈ステント留置術

治療にかかる時間は1~2時間で、入院期間は2~3日くらいを目安にしておいてください。

 

ステントとは

ステントとは、バルーンで血管内を拡張後に留置されるチューブのようなものであり、血管が狭くならないように支える役割を担います。

動脈硬化巣の成分は一律ではないため、たとえ同じ場所でも物理的な固さなど不均一になることもあります。

そのためバルーンによる拡張を行ったとき、血管の一部に亀裂ができてしまう解離が見られることがありますが、小さな解離であれば問題ないものの大きければ血管を閉塞することもあるといえます。

この急性冠閉塞という現象は、バルーン拡張術後の数パーセント程度で発生する重大な合併症ですが、防ぐためにステントが開発されました。

 

ステントの役割

急性冠閉塞を防ぐために開発されたのがステントであるため、バルーンででできた大きな亀裂に対し、血管の内側に筒状の金属を入れることで支える役割を担います。

亀裂ができなかったとしても、ステントにより内宮面積を確保しておくことで、再狭窄など急性冠閉塞とともにバルーン治療での重大問題も回避できます。

バルーンのみの治療よりも、ステントを使ったほうが再狭窄は抑えることができるという研究結果により、爆発的に普及したようです。

近年ではステントの表面に再狭窄予防の薬を塗布した薬剤溶出性ステントなども使用されるようになり、その結果、再狭窄は5%程度まで抑えられています。

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