レーザーメスの特徴とは

治療用機器

外科手術を始め、患部の切開や除去などの医療措置において有効な機器の1つとも言えるレーザーメス。それを、原理や種類、メリットおよびデメリットについて照らし合わせて見た時、どのような特徴が浮かび上がってくるでしょうか。見ていきたいと思います。

レーザーメスとは

レーザー光線の熱エネルギーを、刃物のようにものを切る能力に利用した医療機器。それがレーザーメスです。一般的な金属製メスと比べると、熱を発生し直接患部に触れないという相違点が見られます。

これに利用されているレーザーとは、どのようなものなのでしょうか?
簡潔に答えるならば「誘導放出による光の増幅」となります。

原子には、外部からエネルギーを吸収すると、それを光エネルギーとして放出する性質があります。これを利用したのが誘導放出です。つまり原子にエネルギーを与え、光エネルギーの放出を促すことを意味します。

自然の状態において、1つ1つの原子が放つ光エネルギーは向きも位相もバラバラで一定ではありません。しかしその光エネルギーを位相および方向が同一になるよう集積し増幅すれば、力を強めることが可能です。

そのような原理によって作り出されるのがレーザー光線となります。

レーザーメスは概略的に、誘導放出を起こさせるための媒質をミラーで挟む構造となっています。原子に吸収させるエネルギーとして励起光を媒質に照射し、放出される光エネルギーをミラーに反射させることにより増幅。そのような仕組みでレーザー光線を作り出すわけです。

レーザーメスの種類

レーザーメスは、用いられる媒質の違いにより種類が分かれ、それぞれ異なる特徴を有し、それぞれに適した用途で活用されています。主な分類は以下の通りです。

◆炭酸ガスレーザー
媒質に炭酸ガスを使用。水に吸収されやすく、切開時に周辺組織へのダメージを抑えられます。歯科での使用率が高いタイプです。

◆YAGレーザー
イットリウム・アルミニウム・ガーネットの3種からなる結晶を媒質に使用したタイプ。水分による吸収率が少なく、深部組織にメスを入れる際に適しています。

◆半導体レーザー
小型化が可能で、高出力のハードレーザーや低出力のソフトレーザーなどタイプの幅が広いレーザーメスです。

ハードレーザーは眼科もしくは歯科のインプラント、ソフトレーザーはシミ・そばかす・ニキビの治療に用いられます。

レーザーメスのメリットおよびデメリット

レーザーメスには、レーザー熱の作用によって切開箇所の血管を凝固させ出血を抑えられるという利点があります。また、レーザー光線を局所集中的に照射することで細かな手術も可能となります。

反面、レーザーメスは熱により切開面に火傷を生じさせてしまうリスクを抱えるものでもあります。そのため、使用時には充分な安全対策が必要と言えるでしょう。

まとめ

以上、媒質内の原子から光エネルギーを得る原理を活用したレーザーメスの特徴について見てまいりました。要点にまとめると以下のことが言えます。
◆媒質の違いによって特徴が異なり、それに即した用途別に用いられる。
◆切開箇所の出血減少効果があり、微細な施術も可能というメリットを持つ。反面、治療箇所への火傷のリスクも併せ持つため、扱いには注意が必要。
参考になれば幸いです。

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