人工呼吸器設定の時に把握しておくべき正常値について

治療用機器

【はじめに】
医療の現場で用いられることの多い「人工呼吸器」は取り扱い方を間違えると、命にかかわるケースもあるため人工呼吸器に関する十分な知識を持っておく必要があります。

今回人工呼吸器の使用目的などといった基本的な情報をお伝えしていきたいと思います。

【人工呼吸器の使用目的とは?】

人工呼吸器には大きく3つの使用目的があります。

1.酸素化の改善
2.換気の改善
3.呼吸仕事量の軽減      です。

まず、1.酸素化の改善についてですが動脈血酸素分圧(PaO2)を正常値に改善する必要があります。
このちなみにこのPaO2の正常値は80-95mmHgとなっています。

また、2.についてはCO2排泄補助やPaCO2を35-45mmHgの間の正常値にすること、一回換気量の改善、呼吸リズムの改善等が行うべき改善策になります。

さらに3.の呼吸仕事量の軽減については患者さんが呼吸しやすくなるように換気補助を適切に行います。

【初期設定】

人工呼吸器で設定が必要な項目は大きく5つです。

・酸素濃度(FIO2)
酸素濃度の設定では初期設定の段階では低酸素状態を避けるために100%でスタートし、その後、48時間から72時間以内に50%以下になるようにします。

・一回換気量(VT)
一回換気量を考える上で大切なのが以下の式になります。

「分時換気量=一回換気量(VT)×呼吸回数」

この式を頭に入れた上でVTを6~10ml/kgになるように設定します。

・モードとは
人工呼吸器のモードは普通3つです。
A/C、CPAP±PS、SIMV±PSの3つになります。

A/Cとは補助調節換気モードのことで強制換気だけを行うモードです。
CPAP±PSとは自発呼吸モードといって患者さんの呼吸に依存する型のモードです。
SIMV±PSは自発換気、強制換気両方を組み合わせたモードで自発呼吸だけでは十分呼吸が得られない場合に使用します。

・吸気時間
吸気時間の設定の際にも基本的には「分時換気量」の原則に則って行います。
この際、呼気・吸気時間の割合を正常値の2:1に意識に設定することになります。
・PEEPを調整
PEEPとは呼気に圧力をかけ、抹消気道などを拡張させる手段になります。
このPEEPの設定は「3-5cmH2O」が一般的でうっ血性心不全の際にはCRAPモードと呼ばれる「10cmH2O」まで設定値を挙げることになります。またPEEPを下げるときには6-8時間内の間に2-3cmH2Oずつ下げて調整していきます。

【まとめ】

いかがでしたか?人工呼吸器の設定には必ず正常値というものがあります。動脈血酸素分圧の正常値や吸気時間の割合の正常値をしっかり把握し現場で生かしてもらいたいと思います。

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