血圧計の測定方式

生体現象測定記録・監視用機器

血圧は、時間や測定環境、測定状況など、さまざまな要因で変動します。また、正しい測定方法でない場合、正確な血圧値は求められません。こちらでは、血圧計の測定方式を確認していきます。

コロトコフ方式

コロトコフ方式は、血管の加圧・減圧の音を聴いて血圧を測定する方法です。名前の由来になったのは、ロシアの軍医ニコライ・コロトコフにより発見されたことによります。この方法は世界で最初に確立された血圧測定方法です。

コロトコフ法を利用した血圧計では、水銀柱という目盛りで数値をあらわしていました。血圧の単位「㎜Hg」は、この水銀柱に由来します。

カフ(腕帯)を減圧していき、血液が心臓の脈拍に合わせて流れ始めた時に発生する血管音を測定する方法で、この血管音のことを「コロトコフ音」といい、その音の確認によって測定します。「コロトコフ音」発生開始時のカフの圧力を最高血圧、「コロトコフ音」が消えた時のカフ圧を最低血圧としています。

オシロメトリック方式

オシロメトリック方式は、上腕にカフを巻き、そこに空気を送り込んで腕の血管を圧迫していきます。それからその圧迫を徐々に緩めていくことで血管の圧力がカフの圧力を上回り、血液が心臓の脈動に合わせて流れ始めていくという測定方法です。

脈拍で発生する振動をもとに内蔵プログラムが計算して数値を出すので、音を聴きとる装置は埋め込まれていません。

イレギュラーな血圧測定方法

通常時に看護師がおこなうのは聴診法といわれる血圧測定の方法ですが、緊急時などの状況や、ものが揃っていない時などは臨機応変に使い分ける必要があります。

〇聴診法:聴診器を使って測定する
〇触診法:聴診器を使わずに、脈拍を触知することで測定する
〇オシロメトリック法:血圧計の水銀の拍動を見て測定する

聴診法は、看護の現場で基本的におこなう血圧測定の方法です。しかし、急変時やショック状態の時など、コロトコフ音が聴きとることができないことがあります。そのような時は、触診法(聴診器を使わず脈拍で確認をする)やオシロメトリック法(血圧計の水銀の拍動を見る)が有用です。

触診法でどうしても脈拍の触知ができない場合や、脈動が弱すぎて自信がない場合には、カフ圧を下げた時に水銀が上下に振れた点を収縮期血圧とします。

白衣性高血圧を知っていますか?

「白衣性高血圧」とは、病院に来るだけで緊張して血圧が上がってしまうことをいいます。特に年をとって血管が硬くなると、わずかな刺激が大きな血圧の変動となってあらわれます。そのようなことから、高齢の方ほど家庭で、普段から、なるべく同じ時間、同じ条件で血圧を測ることを推奨します。

まとめ

血圧は健康状態をあらわすバロメーターといえます。正しい方法で血圧を測定することで、健康管理につなげることができることから、血圧測定のしくみを知って医療の現場に役立てていきたいものです。

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