MRI検査の受信バンド幅

診断用機器

MRI検査はCT検査などとは違い、磁石と電波を用いて発生した信号を元に画像を作るため、同じ輪切り画像でもまったく違った情報が得られるので、病気の早期発見と診断に有効とされた検査です。MRIでは受信バンド幅という言葉が出てきます。こちらでは、その内容ついて説明します。

時間はかかるが放射能被爆無し

体を輪切りにして検査をするCT検査(コンピュータ断層撮影法)がありますが、この検査はX線検査の立体版で、レントゲン照射した後にコンピュータで画像を作り出します。こちらの検査方法は、全身の撮影に2.30秒ほどの時間しか要しないのがメリットですが、放射線を使うため、多少なりとも被爆してしまうこともあります。

一方、MRI(磁気共鳴画像)は、強力な電波を使って体内にある水分に作用して断層を撮影する検査技術となりますが、脳や筋肉など水分の多い箇所の画像診断に力を発揮することや、放射線被爆の心配がないので妊婦や子供にも安心という点がメリットとなります。

ただし、MRIは全身の撮影に30分から1時間程度かかるというデメリットを持っています。なぜ、そのような時間がかかるのでしょうか。それは、「バンド幅」と関係があるようです。

そもそも受信バンド幅とは

MRIにおける受信バンド幅とは、周波数帯域ともいいます。受信バンド幅とは磁気が出す周波数の範囲を指し、1ピクセル当たりにかかる周波数の範囲のことで、バンド幅=周波数マトリックス/サンプリングタイムで計算されます。

受信バンド幅をサンプリング時間に置きかえて考えてみましょう。そうすると、サンプリング時間とは、エコー信号を収集している時間となることから、つまり、読み取りをしている時間となります。

サンプリング時間は単位が時間ですが、これをヘルツ(Hz)で現したものが受信バンド幅になるのです。

エンコードされたMR信号を受け取り画像化していくのですが、受信バンド幅とは、この周波数エンコーディング傾斜磁場によって得られるMR信号の受け取り方を決めるものであり、その幅を広くすることも狭くすることもできます。

受信バンド幅が広いとは

受信バンド幅が広い場合、データの読み取り時間が短くなります。読み取り時間が短いことは、患者にとって検査時間が軽減されることが良いことではあるのですが、データの読み取り時間が長い時より不正確な情報になる(ノイズが多い)ことがデメリットとなります。

受信バンド幅が狭いとは

受信バンド幅が狭い場合は、データの読み取り時間が長くなります。この場合、データの読み取り時間が短い時よりも正確な情報を得ることができるというメリットはありますが、患者にとって検査時間が長くなることで、モーションアーチファクト(患者が動いてしまうことで正確なデータがとれないこと)や、ケミカルシフトアーチファクト(脂肪の位置がズレてしまうこと)が起こりやすくなるというデメリットもあります。

まとめ

受信バンド幅はMR信号の収集間隔を決めるために重要で、画質、アーチファクト及び設定するパラメータに大きく影響します。バンド幅の広さや狭さについては、それぞれ特長がありますので、その検査に適した設定が必要となるでしょう。

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