心電図における変行伝導から間違いやすい症状と違い

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心電図における変行伝導とは心電図の波形の形によって間違いやすい事から、それぞれの症例の違いを紹介していきます。不整脈を考えるための必要な情報を知る事ができる、P波とQRS波の関係性を考える要素として、変行伝導における違いや関係性について紹介しましょう。

不整脈と変行伝導の関係

正常な心電図の波形としてはP 波によって、心房の興奮を収縮などで表しており、QRS 波では心室の興奮を収縮などで表し、T 波からなる波形では心室の回復を拡張などで見る事ができます。

心拍数の正常値は60~100/minの数値を示しており、100/minを上回る状態を頻脈と表現します。運動においての頻脈については、正常な状態の反応とします。不整脈の所見から考えた場合には、突然早くなる症状や心電図の見解による所見を重要とします。

不整脈の頻脈はQRSの幅によって0.12秒であるとして、これにより3mm未満の状態ならば上室性(心房性)の不整脈であるとしています。このような場合は緊急性を示しており、早急な対応を求められます。

不整脈における例外として、変行伝導が考えられます。QRS幅が広い波形での上室性の不整脈であり、一方では、QRS幅が狭い波形での心室性の現象もあるので、緊急事態である認識として捉える事でミスを防ぐ事になります。

上室性の場合はPP間隔で心房拍数を調べる事となり、心室性の場合にはRR間隔で心室拍数を調べる事により、異なる名称をつけています。これと同時に脈拍数を触診によって、把握しておく事も重要とします。

心室内変行伝導と心室性期外収縮

変行伝導においては、心臓の右脚や左脚の部分を通過する電気信号が遮断される「脚ブロック」が発生し、上室性期外収縮の場合でもQRS幅が広くなる事が考えられます。このような場合には、心室性頻拍との鑑別を判断する事が重要になってきます。

1.右脚ブロック(V1でM型)の場合では、V6誘導を見る事が判断基準とし、心室性頻拍の場合にはS波が大きい形のRs型になり、変行伝導を示す場合にはR波が大きい形のRs型を示す事になります。

2.左脚ブロック(V6でM型)の場合では、V1やV2誘導においてS波の波形を見る事で判断します。心室性頻拍ならばS波にくぼみのようなノッチが現れるのですが、変行伝導の場合にはノッチが現れないのです。

心室内変行伝導と心室性期外収縮

上室部から出る電気的刺激が心室に到達すると、心周期の興奮から覚めきらない状態の不応期にある時に、電気的刺激の心室内伝播が異常に遅くなる場合の移り変わる状態を心室内変行伝導と呼びます。

心筋の不応期は先行する心周期の長さによって比例しており、先行心周期が短い状態には不応期が短くなりますが、長い状態では不応期も長くなるのです。

※不応期とは、被刺激性組織や細胞が興奮を起こした場合に、その直後に引続く第2刺激では興奮が起きない短い期間などの刺激応答ができない状態です。

心室性期外収縮

正常の心周期から比べたら、心室の興奮よりも早くなる普通の状態とは異なる異所性の心室興奮での不整脈が、心室性期外収縮となります。心電図によると先行するP波を欠いており、幅の広いQRS波を認める特徴を示します。変行伝導によるP波とQRS波の関係性を考えて違いを判断する事です。

まとめ

変行伝導による心電図では、脚ブロックとの関係や心室内変行伝導と心室性期外収縮の違いを判断する事で、似通った波形における診断所見で、ミスを起こさないように理解が求められているのです。症状の事例から違いの判断材料を見つける事なのです。

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