最新型CT装置に見られる特徴とは

診断用機器

体内の映像をCGに映し出すことを可能とする医療機器・CT装置。その登場により、より詳細に患者さんの病状を把握することができるようになり、医療は大きく発展したと言えるでしょう。最新型に見られるCTの機能的特徴としてはどういったものが挙げられるのでしょうか。

CT装置の基本

物体を透過するというX線の性質は現在、様々な医療分野に応用されています。CT装置もそのうちの1種に位置付けられる医療機器です。

大まかな仕組みは、患者さんの身体を透過したX線を検知し、それをデータとしてコンピューター解析を行い、CGとして人体内部を画像再現するものとなります。

人体内部をCG上に画像として復元するには、画像化する部位に3次元的すなわち立体的な方向からX線を照射する必要があります。つまり、観測部分に立体的なX線撮影を行うわけです。

レントゲン検査などのX線撮影では、人体を通り抜けたX線はその写像をフィルムに写します。1方向からX線を当てる形式となるため、装置的動作は特に必要ありません。

対してCTでは、フィルムに代わって検出器にデータとして取り込まれる形となります。そこから得られる人体内部の画像は基本的に輪切り状の断面図ですが、そのような形の画像を構築するには、観測箇所に対して360°方向からデータを集める必要があります。
CT装置の構造は、その360°方向からのX線照射を可能とする動作が行えるよう設計されているわけです。

CT装置は、大きく分けて次に挙げる3つの部分から構成されています。

〇:ガントリ
大きな円環型の外観をなしています。その中央開口部に、横たわる患者さんの身体を縦方向にから通す動作を取ります。装置内部には、X線を放出する管球と、X線を検知する検出器が、中央開口部を挟んで向かい合うように配置されています。

その両者が円環に沿って高速回転しながらX照射およびデータ検知を行うことにより、中央開口部にある患者さんの身体観測部について、360°方向からのX線データ収集が行われることになります。

〇:クレードル
検査中、患者さんが横になる寝台に相当します。ガントリ開口部にスライド移動する動作を取ります。その動きにより、360°X線照射がなされる観測箇所の位置替えを行うこととなります。

なお現在では、クレードルの動きとガントリの回転を連動させ、螺旋状の動作でX線照射が行われるヘリカルCTが主流となっています。これにより、断面図のみならず立体的なCG
描写も可能となりました。

〇:コンソール
CT装置全体の操作部に相当します。ガントリ内の検出器に入力されたデータを基に解析を行い、人体内部をCG化してモニターへと写し出します。

最新式のCT装置が持つ新たなる特徴

現在(2021年5月時点)、医療機関で使用されているCT装置は、おおむね前項で示したような基本的機能を有するタイプが一般的です。2010年代からリリースされている最新式のCT装置には、従来タイプからの性能向上はもとより、新機能の追加などの特徴が見られます。主にどのようなものが挙げられるのか確認していきましょう。

〇:マルチスライスCT
ガントリ内X線管球および検出器の回転1回で、複数枚の体内断面図が得られるというCT機能を意味します。その機能により、検査時間の短縮やより詳細な検査が可能となるわけです。

2000年頃から登場し現在では主流となっていますが、機器の性能アップに伴い回転1回で得られる断面図枚数も向上しています。その性能は検出器の配置列数で表され、現在では320列タイプが最も大量の多段面を検出できる機種とされています。

〇:低被ばく
X線使用には、人体に健康被害をもたらす可能性が伴います。その被ばくリスク低減化もまた、機器が新型化されるごとに性能を向上させてきた部分と言えるでしょう。検査時間の短縮や、線量調整ソフトウェアのバージョンアップなどにより、同様の検査で患者さんが受けるX線量は従来のタイプに比べて更に減少される形となりました。

〇:4次元X線CT装置
従来の3次元的X線照射の形式に、時間軸というベクトルを加えたコンセプトの装置となります。これにより、立体的な画像のみならず、臓器などの体内器官の動きをも解析することが可能となりました。

まとめ

以上のように、CT装置の基本的部分について抑えながら、最新型に相当するタイプに見られる特徴について調べてまいりました。CT装置の性能は今後も向上し続けるものと思われます。これからも医療の発展を牽引していくこととなるでしょう。

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