MRI 装置とエアリズム肌着?

診断用機器

現在の最新医療機器の中にMRIも含まれると思いますが、この検査を受けるときの服装とは何を着ていても大丈夫なのでしょうか?最近では、機能性肌着と言う衣類が販売されています。今回は主に、エアリズム肌着や素材、MRI装置のRFパルスについて述べていきます。

肌着の素材

冬場では、ヒートテックという保温性に優れた機能性肌着があります。この肌着についてはMRI 検査時の着用が禁じられています。なぜなら、この製品は吸湿発熱繊維の素材により加工されているためです。

人間は一定量の汗をかきますが、吸湿発熱繊維はこの水分を繊維表面が吸収して、水蒸気が水分となるとき凝縮熱を発生させる仕組みとなっています。またMRI検査によって体温は総じて多少上昇することになります。

体表に汗があると、身体と汗とのRFパルスが過電流を起こします。この電流により体表では更に温度上昇します。その際、ヒートテックを着用していると体温上昇が循環するように進んでしまうことがあります。そのため検査では着替えるように勧められるのです。

エアリズムは?

機能性肌着の夏用版エアリズムの肌着はどうなのでしょうか。この製品は、「空気のように軽く着ていることを忘れてしまうほどの心地よさ」がコンセプトとして作られています。

繊維を極細化することで肌ざわりを滑らかにして湿気を拡散し、熱気を放出することで衣類内の湿度を抑制します。汗を吸収して乾かし衣服内の快適さを調整して、滑らかな心地を1日中保持します。

エアリズムは、基本素材はポリエステルを使用している化繊です。化繊は綿に比べて乾きが早いですが、化繊自体には吸水性がほとんどなく、そのまま肌着の衣地として使っても汗を吸う作用をなしません。

そういった点に改善を施したのがエアリズムの繊維です。繊維構造に工夫を施すことで、化繊生地に吸水性を持たせて同時に速乾性も高めました。その工夫とは毛細管現象の原理です。これは液体が重さとは関係せずに、細い管の中やすき間を上昇していく現象のことを指します。

汗をかいた場合、毛細管現象によってこのすき間を通り、生地の肌面から表面へと動きながら、拡散して蒸発します。エアリズムのこのような特性から考えると、布地を移動している汗(水分)があると、ヒートテック同様の事案を生じさせる可能性も否定はできないでしょう。

エアリズム系肌着を着用しながらのMRI検査は、検査の万全を期すためにも避けるべきと考えられます。

RFパルス?

MRI装置では、傾斜磁場、静磁場、RFパルスを考える必要があります。人体に与える傾斜磁場による神経刺激並びに騒音、静磁場の力学的作用、RFによる発熱などです。

RFパルスによる影響で、誘導伝導体でもある人体に過電流のジュール熱が生じます。厚生労働省は、規制を設けて使用に対応しています。例えば、体温が1度以上上がらないことや頭部は38℃かそれ以下、体幹は39℃かそれ以下、四肢は40℃かそれ以下と局部的な温度の規制を設けています。

装置の規制値内においては、人体の放熱機能のために体温上昇はほとんど認められていません。通常、RFパルスによる熱は感じても人体に障害を及ぼす可能性は極めて低いと言えるでしょう。

まとめ

MRI装置とエアリズムの肌着について述べてみました。肌着の素材や繊維加工状態、熱を感じさせるRFパルスについてご紹介しました。医療機器は日進月歩、改善を重ねより良いものに進化しながら健康状態の把握や傷病の治療に役立てられています。今後の更なる発展を願っています。

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