合併症予防のために知っておくべき手術台の固定方法

治療用機器

手術は患者様の状態や術式、医師や看護師の処置のやりやすさ(術野の視界確保)に合わせて適切な体位(仰臥位・腹臥位・側臥位など)をとらなければなりません。
必要であれば手術台に手足を固定する場合もあります。

○手術台に身体を固定するケースとは?
侵襲的な処置を行う手術中では、身体が動いては適切な処置を行うことができません。
例えば、部分麻酔下での手術ではターゲットとする部位の感覚はなくすことができますが、意識はあるため患者様は身体を動かすことができます。
そのため、事前に身体を動かさないように説明をしても、手術中にパニックとなり動いてしまう可能性があるため、手術に身体を固定する必要があるのです。

○手術台の固定方法
手足を手術台に固定するには「プラム」と呼ばれる手術台専用の抑制帯を使用します。
また、手術によっては肩を外転位(手を挙げた状態)で固定しなければならない場合があり、その際には上肢台と呼ばれる上肢専用の小型手術台を取り付けます。
取り付けには専用の金具が必要となるため、手術台と上肢台は同じメーカー品(同じ品番)でなければ取り付けることができません。
上肢台だけ別購入する場合には注意しておきましょう。

○固定に使われる物品
手術中の固定に使われる物品は上肢台の他にもさまざまな物品があります。
特に身体を横向き(側臥位)で固定する場合には工夫が必要です。
側臥位は上肢台と身体が接する面接が狭いため、しっかりと固定しておかないと前後どちらかに倒れてしまう危険があります。
そのため、手術台の左右に専用のアームを取り付けて、ウレタンクッション(ソフトナースなど)を挟み、骨盤部分を前後から固定します。
上半身は抱き枕型のクッション、身体と手術台との隙間にウレタンクッションを挿入して固定して身体を安定させます。

○固定による合併症に注意する
手術台での固定は本来の目的である手術を適切に実施できることが大切ですが、固定による合併症に注意が必要です。
合併症にはさまざまなものがありますが、特に注意すべきは末梢神経障害です。
麻酔中は患者様にとって非生理的な姿勢になっていても自ら身体を動かすことができません。
手術台など患者様の身体に当たる部分での圧迫や関節が過屈曲・過伸展になることによる血流障害により末梢神経障害が起きてしまいます。
例えば側臥位の下方上肢は上腕骨を螺旋状に走行している橈骨神経の障害に注意すると共に、肩関節の挙上は90°以内(腕神経叢を圧迫してしまうため)が推奨されています。
このように手術台や付属品、クッションなどの物品は合併症を予防するために慎重に検討しなければならないのです。

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