MRI検査を受けるにあたり

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
皆さんは「MRI」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。MRIとは、核磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の頭文字を取った略称で、強力な磁場を作り出し、体内の状態を断面画像として描写する検査のことです。
よくテレビのドラマなどで、身体を輪切りにしたような画像を見る機会があるかと思いますが、実際医療の現場でも同じようなことが行われています。

MRIの特徴はとしては、鮮明な画像結果を得ることができ、さらに血管などを立体的に描写できることにあります。医師はそれを判読し、あらゆる疾病の診断や治療方針などを決めていくのです。
このMRI検査は今や現代の医療においては欠かせない検査機器となってきました。

【検査の概要】

ほとんどの場合、検査ベッドに仰向けに寝て行います。検査の部位によっては、うつ伏せ、または横向きに寝る場合もあります。
特徴としては、ドーナツ状の輪の中で、工事現場のようなさまざまな機械音を出しながら断片的に撮影を行います。
正確な画像を得るためにも、できるだけ身体を動かさないことが大事です。
また、撮影する部位によっては、何度も息を止めてもらうように指示を受けたりもします。
検査時間は、撮影する部位によっても異なりますが、およそ30分~1時間程度です。

【MRIは組織の異常を描き出す】

MRIが威力を発揮するのが「頭部MRI」です。脳には水分が多く含まれ、細胞の集まりである組織に異常がないかを検査することができます。
電磁波を当てることで、頭部の細胞に含まれる水素原子が反応し、三次元的な画像を得ることができ、脳を立体的に見ることが可能です。
具体的には、脳細胞が肥大化することによって生じる「脳腫瘍」、あるいは脳を栄養にしている血管から血液が流出してしまっている、「脳出血」などを描写することが可能です。

【MRAについて】

MRI検査とよく似た言葉に「MRA」という検査があります。
これは造影剤を使用せず、脳全体に張り巡らされている血管だけを映し出す検査のことをいいます。
血管の一部が瘤(こぶ)状に盛り上がった「脳動脈瘤」や毛細血管が正常に形成されず、動脈と静脈が直接つながってしまう「動静脈奇形」などを早期に発見することが可能です。
脳動脈瘤は「くも膜下出血」を、動静脈奇形は「脳梗塞」を引き起こすリスクが高いことから、早期発見は重要となってきます。

【MRI検査を受ける際の注意事項】

以下に該当される方は、MRI検査を受けることができません。
・心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器を装着されている方
・人工内耳を装着されている方
・神経刺激装置、骨成長刺激装置を装着されている方
・可動性義眼を装着されている方
・インスリン注入ポンプを装着されている方
・体内で移動、脱落の可能性がある金属(内視鏡クリップ等)を挿入されている方
・金属製の人工弁を入れている方
・妊娠中、または妊娠している可能性のある方
・閉所恐怖症の方
・歯列矯正ブリッジ、義歯インプラント

など、その他にも多数ありますが、原則としてボルトなどの金属が体内に入っていると検査を受けることができません。
検査を受ける際には、予め医師に相談し検査が受けられるかどうか相談することをお勧めします。

【まとめ】

「頭部MRI」と「MRA」、どちらも頭部の画像を撮影し診断するための方法です。
MRIは全身の検査を行いますが、MRAは基本的に頭部に用いられる検査方法で、必要に応じて頸部や下肢の血管を造影する際に用いられます。一言で言えば、それは「なにを写し出すのか」の違いなのです。どちらも使う装置も方法も同じですが、得られる画像情報がまったく違うのです。
地域の定期検診、あるいは腰痛や膝痛などの受診で病院を訪れる際、MRI検査を受ける機会が出てくることもあるかと思います。
ここまでみてきたように、MRI検査は検査方法や検査部位によっては、うつ伏せになったり、横向きに寝る場合もあったり、想像していた以上に大きな音が出ることなど、それらに留意して検査を受けてみるといいでしょう。

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