X線CT装置の構造について

診断用機器

はじめに

全身のあらゆる部分について迅速に断層画像を得ることのできるX線CT装置(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)は、さまざまな診療科において使用されている検査装置の一つです。
CT装置では、レントゲン撮影と同じくX線を身体に照射し、その透過率をコンピューターで処理して断層画像を得るわけですが、その構造は一般的にどのようになっているのでしょうか?
以下で見ていくことにしましょう。

X線CT装置の構造

X線CT装置の構造は「クレードル」「ガントリー」「コンソール」という3つの部分に大別することができます。

クレードルは、日本語で言えば「ゆりかご」や「受け台」であり、検査を受ける患者さんが横たわる寝台の部分になります。

次に、ガントリーは日本語では「跨線信号台」や「ロケット打ち上げ用の架台」であり、CTの寝台が入っていく大きな輪っかの部分と言えばすぐにお分かりいただけると思います。
このガントリーは、ふつう樹脂製のカバーで覆われていますが、中にはX線を発生させる管球(X線管)およびそのX線を読み取る検出器が入っています。

管球の内部は真空状態となっていて陰極と陽極が設けられており、電流を流すと陰極側にあるコイル状のフィラメントから熱電子が発生します。
そして、その熱電子に電圧をかけて加速させ、陽極側に設けられた標的金属(タングステンやモリブデン)に衝突させるとX線が発生することになります。
そのようにして発生したX線は、身体を透過した後、管球と正反対の位置に設置された検出器で読み取られるのです。
なお、この検出器は、半導体素子(フォトダイオード)やセンサーなどから構成されています。

実際の検査ではクレードルの部分がスライドして少しずつ動きながら、ガントリー内部の管球と検出器が回転して、360度にわたるX線の照射・透過・読み取りを行い、画像のもととなる身体内部のデータを得るわけです。
ちなみに、管球と検出器には相当な重量があって、それが1周0.5秒未満という速さで回転するため、ガントリーにはかなりの重力(ジェットコースターの約10倍相当)が掛かることとなり、それに耐えうるような設計がなされています。

検出器で読み取られたデータは、コンソール(コンピュータ)へと送られて処理され、実際に医師や患者さんが目にする画像へと変換されることになります。

最後に

以前は、CTと言えば特定の部分を輪切りにした画像がほとんどでしたが、現在はマルチスライスCTの普及によりあらゆる角度からの画像や3D画像を得ることができるようになっています。
これは、主に検出器部分の多列化によるもので、以前のCTでは1列のみであった検出器の列数が増加することで実現可能となったことであり、現在では検出器の列数が320列のものも開発されています。

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